おとなの寺子屋で「なるほど遠足」開催!目からウロコの街「キングスカイフロント」へ行ってきました!

いつもは二子新地の大山街道沿い、イタリアンレストラン「ニコ・ルーチェ」の2階にある「平原邸」で2ヶ月に1回のペースで開催されている「おとなの寺子屋」ですが、記念すべき第10回目は、なんと初の「遠足」となりました。

行き先は、川崎にある世界最高水準の研究開発拠点「キングスカイフロント」。「え、初めて聞いた!どこにあるの?何をしてるところなの?」と思う方も多いことでしょう。私もまさにそうでした。なので、題して「なるほど遠足」。未知の場所へ足を運び、自分の目で見たり、お話を聞いたりすることで、「I see.」(なぜか気分は英語…笑)となるわけですね。
7月7日(土)の七夕の朝。
待ち合わせ場所として指定された京急大師線「小島新田」駅を出ると、すでにたくさんの人。その輪の中に、出欠を確認する主催者の平原ご夫婦が見えます。
本日の参加者は総勢20名とのこと。いつもよりかなり多いようです〜。そしてお天気はピカピカの夏日。

参加者が揃ったところで、徒歩で目的地「キングスカイフロント」へと向かいます。15分ほど歩くと、あっ、何やら建物の集合体が見えてきました。かつては重化学工業で栄えた「京浜工業地帯」が、今は最先端の企業や研究機関が集まるイノベーション拠点へと生まれ変わりつつあるのだとか。

主催者であり、本日の講師を務める平原憲道さん(慶應義塾大学医学部 医療政策・管理学教室)によると、「医療版シリコンバレーをつくろう!」というかけ声のもと、医療・健康・福祉・環境といった、世界共通の人類の課題に対する研究開発を行う企業や研究機関がぞくぞくと集まってできている街だということ。
地図で見ると、多摩川を挟んだお向かいに、なんと羽田空港が!その距離わずか600m。2020年に向けて殿町の研究開発エリアと羽田空港国際線ターミナルとが繋がる連絡橋が整備されるそうで、そこが開通すれば、まさに日本のフロントエリアとなります。「キングスカイフロント」という地域の名称はここに起源を持つそうです。グローバルな環境のなか、さまざまなイノベーションが生まれそうで、なんだかわくわくします。
さて、一行は本日のメインの目的地となる、「慶應義塾大学 殿町タウンキャンパス」へ。「Research Gate Building TONOMACHI 2-A棟」という建物の4階にあります。普通、なかなか一般人が入れない場所なのでは〜と思うのですが、これも主催者の平原さん率いる「おとなの寺子屋」ならではの特権なのでしょうね!(「地域の方々に興味を持って来て頂けるなら!」と、タウンキャンパス事務長の鈴木さんが色々とご用意くださったそうです。)
一歩中に入って、びっくり。大きな窓からは明るい日差しが差し込み、あちこちにグリーンが配され、ブロックを積み上げた仕切りがカーブを描いて配されています。大学の施設っぽくない、カジュアルでナチュラルな雰囲気の空間です。そこで、一同、机について、本日の講義の始まり始まり〜。講師はもちろん、本日のナビゲーターである、平原憲道さんです。
講義は2部制となっていて、前半は、
「キングスカイフロント」の成り立ちと、現在どのようなことが行われているのか
について。
もともとはいすず自動車の大きな工場の敷地だったというこの場所。会社が藤沢および栃木工場へ生産業務を移転したため、川崎市が音頭を取りながら工場跡地の利用を希望する企業を募ったのがそもそもの始まりだそう。そこに「ジョンソン・エンド・ジョンソン」や「富士フイルム」といった製造業の大企業や、ナノ医療イノベーションセンター(iCONM)」などの研究機関がポツポツ入ってきたと言います。

日本の場合、ICT(Information and Communication Technology)を全て民間企業に任せっぱなしにしてしまうと、自社の利益を優先し、技術仕様がブラックボックス化、さらには「ガラパゴス化」してしまうことでオープンな横連携が難しくなるケースが多いらしく(これが、アメリカだとうまく学会や非営利組織などが調整に入り、比較的うまく行くそうなのですが…)、中立組織であるアカデミアが国とも連携しながら大きな枠組みをつくってオープンな基盤を整えた方が良いということで、川崎市に加えて慶應義塾大学が国のプロジェクトの中核機関として参画。他にも、東京大学や東京工業大学、横浜市立大学、理研などの学術機関、そして多くの研究開発型企業が関わっているそうです。

というわけで、最先端の研究をしている様々な機関がぎゅっと集まっているそうなのですが、なかでも私が気になったのは、「サイバーダイン」という会社。体に装着することで、一気にパワーアップするボディスーツをすでに商品化しているとのこと。それってそれって、リアルに「Mr.インクレディブル」の世界ではないですか!
また、医療実験のための実験動物を輸出しているという「実験動物中央研究所(CIEA)」の世界でのシェアはとても高く、この川崎の地で、世界のさまざまな研究機関で使われるマウスなどが誕生しているというお話にもびっくりしました。

その他、新薬づくりに貢献するバイオベンチャー企業「ペプチドリーム」や、医療用の細管「カテーテル」などの研究開発を行う「クリエートメディック」など、実にさまざまな会社が集まっているそうです。地球で最も大きな医療機器メーカーである「メドトロニック」の医療従事者向けトレーニング施設も昨年、仲間入りし、地球で2番目に大きい「ジョンソン・エンド・ジョンソン」の東京サイエンスセンターと合わせて、この地に医療機器メーカーのトップ1&2が揃っているというのもスゴイことなのだとか。
慶應義塾大学は、大企業やベンチャー企業を含めた共同研究者との「融合研究」、ヘルスケア領域のアントレプレナー(起業家)やデータサイエンティストなどを輩出するための「人材育成」、それらの成果をカタチにし社会実装するための「事業化支援」等を軸にした「リサーチコンプレックス事業」(複合型イノベーション推進基盤)の構築を国(JST)から委託されているそうです。

その一環として、小学5年生から中学3年生までを対象としたワークショップ「ジュニアドクター講座」も定期開催されることに。参加した子どもたちは、宇宙やAI、ビッグデータ、生命、医療などの最新の科学トピックにふれながら、科学の力でさまざまな課題の解決法を探っていくのだそう。きっとここから、世界をリードするようなアントレプレナーが生まれていくのでしょうね!

前半の講義が終わったところで休憩タイム♪
広〜いベランダに出て、外を眺めると、目の前には世界初の水素ホテル「川崎キングスカイフロント東急REIホテル」が見え、その先に多摩川が広がり、さらにその向こうに羽田空港が望めて、気持ちいい!東急REIホテルは、川崎臨海部で作られる使用済みプラスチック由来の低炭素水素を電気や熱などのエネルギーとして利用しているという、地球環境に配慮したホテルなんだって!さすが、キングスカイフロントらしい取り組みですね。

最先端ホテルでありながら、見た目はどこか懐かしいシックな雰囲気。エイジング加工されたような色使いが素敵です。

後半の講義では、実際に講師の平原さんが手がけている
「PeOPLeプロジェクト」について「PeOPLeプロジェクト」とは、あちこちに分散されて管理されていたビッグデータを個人を軸に集約することで、医師、患者、そして社会全体にメリットをもたらす仕組みをつくろう!というもの。
「Person Centered Open Platform for wellbeing」を略して「PeOPLe」なんて、
ネーミングも実によくできていて、座布団3枚(拍手)!
ビッグデータというだけあって、部屋の中にはカーブしたガラスに覆われた空間があり、その中には大きなサーバーらしきものが並んで、なにやらピコピコ動いています。電子カルテをはじめ、医療に関するデータは実はいろいろあるのだけれど、技術的にはデータの仕様がバラバラでまとめにくかったり、法律的にはプライバシー保護等のしばりもあったりして、これがなかなかハードルの高い事業なんですって。でも、「医療サービスの『始点』も『終点』も患者」という考えのもとに「個人を軸にデータをつなぎ、適切な医療を適切なタイミングで個人に提供する」という考え方は、すっごくうなずけるし、とっても助かりそう。
今後は患者中心の医療をICTで実現させるべく、すべての個人情報の所有権を本人に帰属させ、状況や目的、本人の意思によって、情報の提供範囲や精度、期間、更新権の有無を指定していけるようにするのだとか。平原さんが最近、2度目の視察に訪れた北欧の「エストニア」には「X-Road」という大規模システムがあり、そこでは個人データがすべてつながっていて、とにかく便利なのだそう。例えば、クレジットカードだって10分もあればできてしまうそうです。その代わり、セキュリティは万全に施してあるのだとか。日本にもマイナンバー制度があるけれど、あれは社会保障に関することにしか使えない制限があり、より広い活用に至っていないため、まだ個人を軸にデータを集約・連携する機能はないんですって。
自分の個人情報があれこれ、すべてデータ化され、集約されるなんて、ちょっぴり怖い気も…。でも、それが当たり前の世の中になれば、実際はものすごく便利で快適なんだろうなあ。

その後、平原さんのお話は、専門医制度を支える手術症例データベースとして、「NCD」(National Clinical Database)が設立され、手術を受ける患者の死亡率や合併症発症率等の予測ができるようになったことや、実際の「PeOPLeプロジェクト」として、乳がん患者のフォローアップが行われつつあることなど、まさに最先端の医療事情へ。普通に暮らしていると気づかないけれど、医療は日進月歩で発展しているんだなあ、と感動しました〜!
講義のあとは、みんなで「東急REIホテル」へ。1階の「カフェ&ビジネスラウンジ」で、窓外の景色を愛でながら、和気あいあいとランチを楽しみましたよ〜。


帰りはホテルの送迎バスにのって、川崎駅前へ直行。まさに「なるほど!」がいっぱいの有意義な遠足となりました。

「おとなの寺子屋」は、およそ2ヶ月に1回のペースで開催中。

923日(日)には、講師に厚生労働省に勤める医系技官と医師を目指す医大生を招き、「お医者さんの仕事」を知るための、子ども向け寺子屋「なるには講座」を開催します。興味のある方は、下記アドレスまでお気軽にお問合せくださいね!
「おとなの寺子屋(平原)」(terakoya@oyabun.net)