「サッカー選手になるにはどうしたらいい?」元プロサッカー選手の中村 彰さんをお迎えして、「なるには講座」第5弾(byおとなの寺子屋)が開催!

5月11日(土)「おとなの寺子屋」が定期開催されている平原邸(二子新地)は、いつも以上に熱気むんむんでした。なんといっても、今回の講師は元川崎フロンターレ中村 彰(なかむら あきら)さん。

最前列には、サッカー選手を夢見る小学生がずらりと並び、目をキラキラさせています。参加者は親子合わせて総勢32名。過去最多の参加者数です。

「なるには講座」コーディネーターの平原ちひろさんが、「サッカー選手になりたい子は?」と聞くと、子ども全員が「はーい!」と勢いよく手を上げて、講座がスタート。

講師の中村さんは、小麦色の肌に白いTシャツとジーンズ、という出で立ちで、いかにもスポーツマンという爽やかな雰囲気の方です。

 中村 彰(なかむら あきら)さんってどんな人?

まずは、白黒の写真が映し出されました!そこにはすでにサッカーボールを蹴る姿が!なんと3歳の頃からサッカーをしていたそうです。 現在45歳で、家族は奥さんと5歳と3歳の男の子。ちなみに、息子さんたちはまだサッカーをやってはいないそうです。 今は「NENGO」という建築会社で働いていて、魅力ある家や街づくりをしているのだとか。ちなみに「NENGO」は、今回会場となっている平原邸をプロデュースした会社です。 また中村さんはサッカー選手をスカウトしたり、サッカーチームをつくるようなお仕事もされています。すでにこの春、高校を卒業したばかりの選手をブラジルのチームに送りだしたのだとか。

集まった小学生にウェブサイトを見せながら、「将来、みんなが活躍したら、こういうチームに紹介してあげるからね!」とにっこり。会場は色めきたちました。

 中村 彰(なかむら あきら)さんのこれまで

次に、中村さんは、ご自身の経歴を順を追って話してくれました。サッカー選手になった人がどんな人生を歩んできたのか…?気になりますよね。

〜小学校時代〜
小学生のときは愛知県の「高浜FC」というクラブチームに入っていたそうです。 「小学生のときはね、ひたすら、リフティング、トラップ、パス、シュートをずーっと練習していました。それはなぜか?ボールが来たときに、自分の思ったところで止める、思ったところへ蹴る、思ったところにシュートするという技術は、繰り返し練習することで、やっと身について自分のものになるからです。 当時、マラドーナという選手がメキシコのオリンピックで優勝したんだけれど、ドリブルで十何人も抜いたり、身体は小さいのに蹴るとすごく飛ぶのが憧れで…。だからマラドーナの真似をして、ドリブルや蹴り方も勉強していました」と中村さん。

ここで、小学6年生のときに書いた中村さんの卒業文集が映し出されました。タイトルは、「夢のプロサッカー」

当時、日本ではまだプロのサッカーリーグはありませんでしたが、「トヨタカップ」でブラジルとヨーロッパのチームが試合をしているのをみて、「カッコいいな、ボクもプロサッカー選手になりたいな」と思っていたそうです。

〜中学校時代〜
中学校では部活に入らずに、「高浜FC」のジュニアユースに入って、全国大会に出場。同時に勉強にも力を注ぎ、生徒会長もこなすなど、マルチに活躍されていたそうです。スライドには、中学時代の試合の様子が映し出されました。

「こちらは全国大会のときのものですね。この時、右ひざをゲガしていたんです。でも、どうしても試合に出たくて…無理して出ました。そしたら試合中、ボールを蹴ったタイミングでひざの半月板が割れました。 そのあと、半月板の手術を5回も6回もやって、今でも痛いです。なので、試合に出たくても、怪我はちゃんと治したほうが絶対にいいです。自分は今も後悔しているので…。

中学校では小学校の延長で、とにかく技術を磨く努力をしていました。例えば、蹴ろうと思った場所より、ちょっと右にズレたとする。そしたら、なぜ右にズレたんだろう?ということを考えて、次につなげる…。基本動作の繰り返しが、技術をつけるポイントです」とアドバイス。具体的でわかりやすい内容に、小さなサッカー選手たちはみんな真剣に耳を傾けていました。

〜高校時代〜
サッカー推薦で、「刈谷高校」へ進学。「刈谷高校」は現役で東大に受かる生徒が1学年に10人も出るような進学校で、さらにサッカーも強かったそうです。そこで1年生から試合に出て、愛知県大会でみごと準優勝3年の時には、全国大会に出場したそうです。スライドには、やはりサッカーボールを蹴る中村さんが映し出されていました。

この時のボクの強みは、視野の広さとスルーパス他の人にはない、自分だけの技術を見つけて、それをひたすら磨いていました。それはなぜか?自分しかできないことがないと、試合に出れないからです。監督が愛知県選抜に誰を選ぼうかな?と思った時に、スルーパスを出せるやつと言えば中村だ、と思ってもらえるようにがんばったわけです。」

〜大学時代〜
大学は推薦で早稲田大学へ。2年生と3年生のときに全国インカレ選手権で優勝関東選抜に選ばれたそうです。スライドには、仲間と並ぶ中村さんが映し出されています。

「これは、大学での決勝戦のときのもの。大学で優勝できるレベルになると、みんな上手いし、だいたいプロ選手になります。この人は相馬直樹さん、日本代表でフランスに行った人ですね。この人は柏レイソルで活躍した人、この人は清水エスパルスにいてW杯に出た人、他にも横浜F・マリノスや湘南ベルマーレに行った人たちがたくさん写っていますね。でも実家がうなぎ屋さんで、うなぎ屋さんになった人もいました(笑)。」

〜プロサッカー選手時代〜
中村さんが大学生のときに、日本でとうとうJリーグが発足。中村さんは22歳で川崎フロンターレのプロサッカー選手になります。

「プロになるとね、周りはみんな上手いから、試合に出るのがとっても大変。一人ひとりに高い技術力があって、さらにみんな一生懸命練習もする。 プロになるのも大事だけれど、プロになったら試合に出られるようにがんばらなくちゃいけない。それは難しいし、ものすごく頑張らないと出られないんだ。」

〜引退後から現在〜
中村さんは24歳でプロサッカー選手を引退し、その後は、在籍していた富士通の社員として勤め、27歳で川崎フロンターレのチームスタッフになったそうです。その後、32歳から現在(45歳)まで、最初にご紹介した通り、NENGOに勤務されています。

ここで、人生が100年続くとして、中村さんの人生をわかりやすく図式化したものが登場! それを見ると、プロサッカー選手の期間がとても短いことがよくわかります。

プロサッカー選手って、平均して何年くらい現役でやれると思いますか?実は平均して3年〜4年なんです。どんどんどんどん上手い選手が出てくるから、だいたい3〜4年したら引退して、違う仕事をするしかない。 ぼくはサッカーを引退してから約18年。サッカーをやっていた期間も約18年。小中高大とサッカーを頑張って、プロになって…。でも引退してからの人生の方がずっと長いんだよね。プロサッカー選手って、ずっと続けることができないんです。あ、カズはすごいよね、ほんとに信じられないくらいすごいよね。あれはすごい努力をしているんだと思う。

何を言いたいかというと、きっとみんなはお父さんやお母さんに、「勉強しなさい!」と言われると思うんだけど、ほんとに勉強した方がいいよ。サッカーのためだけに、大人になるまでの時間を費やすのじゃなくて、そのあとの人生、楽しく生きるために今は勉強も大切。ボクもそうしてきました。おかげでね、今、こうやってみんなの前で話せるし、今、とても楽しい。

例えば国語をちゃんと勉強すると、監督の言っていることがよくわかるようになるよ。算数を勉強すると、今、どこにボールを蹴ればいいかがわかるようになるし、英語を学ぶと、海外でのコミュニケーションに役立つんだ。」

ここで、三角の図をホワイトボードに描く中村さん。下から、小学生、中学生、高校生、大学生と書いてあります。三角形の頂点部分はプロサッカー選手。

「(頂点を指して)みんな、ここをめざすでしょう?でもね、小学生の時は、こんなにライバルがいっぱい。がんばって中学に進むと、少しライバルが減って、高校、大学とさらに減っていく。みんなは今、ここにいる…ライバルはいっぱいいるけれど、チャンスもいっぱいある。だからぜひがんばって!」

 プロ選手になるために必要な3つの大事なこと

最後は、本日の講座の目玉となる、中村さんの実体験に基づいたアドバイスが披露されました。 プロになるために、大事なことは大きく3つあります。

まず1番目は「気持ち」。試合に絶対、勝ちたい!あいつに負けたくない!という強い思いです。負けたのは監督のせいだ〜なんて思う人はプロにはなれません。

2番目は「技術力」。止めること、蹴ること、シュートすること。基本的な技術がしっかり身についていないとプロにはなれません。プロ選手は全員、高い技術力を持っています。

ぼくがフロンターレにいた時、フィーゴやロナウドっていうスター選手を等々力陸上競技場へアテンドしたことがありました。その時は、彼らの技術力のスゴさに驚いたね。止める力や蹴る力といった基本的な技術が完璧。トラップする音が違うんだよね。オーバーヘッドとかも、もちろんスゴいんだけれど、彼らは基本的な技術が本当にすばらしい。強くなりたかったら、まずは自分の思い通りにボールをコントロールできることが大事なんです。

3番目は「能力」。誰も持っていない自分だけの特技…例えば、足が速い、シュート、すげえ、ディフェンスでは誰にも負けない、などの飛び抜けた武器のことです。

みんな、長友を見てどう思う?あの駆け上がり、ハンバないでしょう?あれは長友にしかできないから、彼はずーっとあのポジションにいる。そして中村憲剛、あの視野はすごいでしょ。最後の10分でスルーパス流して決めるよね。

1番は誰でも持てます。頑張る気持ち、何があってもあきらめない気持ち、自分はぜったいにできるんだと自分自身を信用できる気持ち…。ここに来ているみんなはもう持っていると思います。

2番は、練習すれば誰でもできる。でもみんなと同じだけ練習するのでは、同じになってしまうから、人よりもずっといっぱい練習しなくちゃいけない。みんなが遊んでいるときも、休みの日にも、練習しよう。

3番は、自分のことをよく考えてほしい。何が得意か?それがポイントです。俺はドリブルが得意、ヘディングが得意とか、そういうのを伸ばしてほしい。

フロンターレの大島選手。小柄でそんなに速くないけど、スルーパスはすごいよね。だから試合に出られるんです。そんな自分だけの強みをね、見つけて欲しい。岡崎選手ってずーっと走っているでしょう?フォワードで、誰かがシュートを打ったら、こぼれ玉を絶対狙って点を入れる。飛び抜けているよね。そういう選手だからヨーロッパでも活躍できるんです。」

わかりやすく説得力のある中村さんのお話に、子供たちも保護者も、みんな真剣な眼差しでうなずきながら聞き入っています。

とここで、「ヨーロッパは年俸も違うよね、4億とか8億とか(笑)。夢がありますよね。そこまで行けばビッグな夢と成功を手にすることもできる」と中村さんが付け加え、会場には笑いが広がりました。

小学生のみんなへのメッセージ

今、お話しした3つのことを考えながら練習したり、試合をしたりすると、たぶんみんなの行動も変わってくると思うから、そこを期待しています。そして、このおとなの寺子屋に集まってくれたみんなの中から、プロサッカー選手になる子が出てくれるとすごくうれしい。これからも、もっとサッカーをがんばってください!あと、勉強もね!今日のお話は以上ですと、笑顔で締めくくった中村さん。

サッカー選手になるための具体的なポイントや、また長い人生においてサッカー選手時代が実は短く、勉強も大切であることなど、本当に役立つ心に響く講座となりました。

 ●質問コーナー

講座のあとは質問タイム。集まった小学生から、次から次へと質問が出たので、その一部を紹介します。
6年生:「今までで、キーパーで一番強かった人は?」
中村さん:「名前は覚えていないけれど、上手いキーパーはゴールが小さく見える。キーパーはとにかくポジショニングが大切。頭を使って、ボールはもちろん、敵や味方の動きを全部、把握して動くキーパーは手強いよね。」

6年生:「相手にイヤだと思われるディフェンスは?」
中村さん:「僕はフォワードだったからよく経験したんだけど、強いディフェンダーがいると、前を向けないんです。フォワードは本当は前を向きたいんだけど、ポジショニングのいいディフェンダーは、前を向かせてくれない。そういうことです。」

6年生:「お手本にするとよいディフェンダーは?」
中村さん:「プロはみんな上手いよね。まずはテレビで試合を見て欲しい。上手くなりたいなら試合でボールを見るのではなく、選手の動きを見るようにしよう。」

5年生:「基本的な技術を磨くためにはどんな練習をすればいい?」
中村さん:「ボクは学校にあるキック板にむかって、ずっと蹴っていましたね。学校にキック板ある?ない?それじゃ、今度、福田市長に言わなくちゃ!(←次回の講座のゲストが福田市長であるため。中村さんならではの茶目っ気トークです。) あとは家の近所に壁を見つけて、それに向かってずっと蹴るか、壁がなければ友達相手にずっと蹴るか…ですね。」

その他、それぞれ自分のポジションに関する悩みや相談を中村さんに質問して、解説してもらいました!

最後は父兄から「セレクションで選ばれるためには、何が大切か?」という質問が寄せられ、 「やはり、その子にしかない、誰にも負けない飛び抜けた能力があると強いです。セレクションする側はそこを見ています」と中村さん。

講座のあとは、中村さんの現役時代のアウェイ用のユニフォームを着せてもらって記念写真。みんな、うれしそうないいお顔でした。